※ 画像は、日本の在来種の棉の種、遺伝子組み換えコットンの畑、遺伝子組み換え種子の実験風景です。

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在来種というと耳慣れないかも知れませんが、その土地の環境に適応してきた種のことです。その土地に根ざしているということから、固定種とも呼ばれます。この棉の種は、日本の三河地方の在来種です。

なぜ、日本とはまったく気候が異なる種を持ってきたかというと、カンボジアやその周辺国では、在来種の棉の種が入手できなかったからです。

現在、主流なのは、FI種という種です。交配種とも言います。これは、「雑種一代」ということを意味します。

試しに、ホームセンターなどで袋に入った野菜や果物、花の種を見てくださるとわかるのですが、大抵は、「○○交配」種と表記されています。

スーパーや八百屋さんで売られている野菜や果物、花も、多くはF1の交配種です。この種のメリットは、非常に大きいです。野菜は大きく、果物は甘く、花は色鮮やかなど、消費者が好む品種ができます。つまり、生産者も高く販売することができます。この点だけを考えれば、よいことずくめです。

でも、このF1種が、現在のように市場を席巻し、在来種は見つけるのが大変になってしまう状況には、不安を感じます。カンボジアで棉を栽培していて、このことを強く感じるようになりました。

F1種は、「雑種一代」と言われるように、その特質は一代限りしか続きません。F1の棉の種からできたコットンボールを、翌年に植えたら、まったく発芽しなかったり、前年とは比較にならない程、ボールが小さかったりします。F1種の二代目は、親とはまったく違った形質を持っており、元々、品種改良した目的から外れてしまいます。仮に、野菜は小さく、果物は酸っぱく、花は色あせていたら、消費者は買ってくれません。

在来種は、F1と比較すると、その特徴は目立ったものではありません。種としての性質が、親から子、子から孫へと代々保たれています。つまり、世代を超えた種として存続していくことができるのです。このことは、在来種が長い年月をかけて、その土地の環境に適応しながら生き延びてきた証です。

「一代限り」のF1種は世代を超えて生命の受け渡しをすることができません。つまり、循環しない品種と言えます。生物学において、生命の定義のひとつとして、「生命の本質は、自己複製である」というものがあります。その定義に沿って考えると、人工交配によって生み出されたF1種は、完全な生命なのかという疑問もわいてきます。

(続く)


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