画像は、縫製工場の一般的な様子(この写真と文章には関係がないことをご理解ください)。崩落した日本資本の靴の縫製工場。ファッションブランドの店舗前で「失神」のデモンストレーションをする人々。

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僕が初めてカンボジアの縫製工場を訪れたのは、2008年になります。いまもお付き合いしてもらっている台湾系資本の工場です。医療用の白衣や患者衣などを作っています。そのためファッションの流行とは、ほぼ無縁の企業です。

2011年に訪問した時に、そこの工場長に聞いた言葉があります。初めは何のことか、さっぱり意味がわかりませんでした。

工場長は「我が工場の労働者は、自分の好きな時にトイレに行くことができる」と誇らしげに言ったのです。

もよおした時にトイレに行くのが当たり前だろうと思っていた僕は、まったく意味がわかりませんでした。その後、ファストファッションの台頭と共に、その工場長が発言の真意が次第にわかるようになりました。

多くの縫製工場は、午前と午後に一度ずつしかトイレに行く機会が与えられていません。しかも、その制限時間が定められています。トイレの数は全員が一度に用を足す程には多くありません。排泄できないまま仕方なく生産ラインに戻る人が多いのです。

規定外の時間にトイレに行けば、罰則として賃金を減らされるそうです。そのため、水分の摂取を抑えて労働する人が増えます。そうした環境が、様々な体調不良を引き起こし、失神につながるのではないかと指摘する医師もいます。

カンボジアには建築基準法がありません。労働関連法も遵守されていないことが多いです。狭い生産ラインに可能な限り多くの労働者を配置しています。バングラディシュの縫製工場の崩落事故と同じように、カンボジアでも建物が何の前触れもなく、突然崩落する事故がありました。日本の靴メーカーの下請け縫製工場でした。

こうした崩落のニュース映像は、カンボジアでは驚くほど生々しく流されます。そうした事故映像の記憶が、労働者の不安を引き起こしているとも指摘されています。労働者が幼い頃に経験した内戦で、いつ自宅が砲撃されるかわからない不安と重なるという労働者もいます。

こうした縫製工場の労働環境の改善を訴えるために、発注したファッションブランドの店舗の前で、「失神」のふりをして不買運動を呼びかける人々が現れました。方法論の是非はともかく、こうした運動が欧米で増えてきています。

(続く)


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